映画「君の名は。」

ようやく観てきました。素直によかったと思います。(上から目線ですが)「こりゃ売れるわ」と率直に思いました。
何しろスタッフ陣が豪華で、看板こそ旧来のままですが、ジブリやIGや名だたるスタジオや有名なスタッフの方々が加わっており、なおかつ配給が「東宝」ですから、脇の甘さもなく、そういったところが「売れるわ」の理由なわけです。
旧来からのファンとしては、画にしてもストーリーにしても、もう少し「濃く」てもよかったかなと思いました。
さて、要素を1つ1つ考察してみますが、まずストーリー。これは前作の「言の葉の庭」と打って変わって、純文学というより、どちらかとうと大衆文学よりになった感があります。セオリーを踏襲しているのも分かります。パンフにもありましたが随分と試行錯誤・勉強したみたいです。細かい所で突っ込みどころは無いわけではないですが、逆にそれが観客の考察や想像を膨らます余地にもなりますし。
画の方については、なんといってもキャラクターデザインの重要性を見せつけられたと思います。アニメーションはすごい人達ばっかりなので文句なし。ただ、画のコントラストについては、新海さんらしさが薄まっていたので、そこが少し不満です。
音楽についてはなかなか評価しがたく、主題歌や歌ものについてはとてもよかったのですが、BGMについてはもう少し印象が薄いかなというのが正直なところです。ストリングスで助けられた部分が多く、やはり青弦さんの音はやはり良いなぁと思った次第です(最初聞いた瞬間に「青弦さんかなぁ」と思ったら当たってたので我ながら勘がいいというか、変なところで耳がいいというか)
大衆向けの作品はこれが初めてではなく「星を追う子ども」が近い作品なのですが、もしこれが配給が東宝で今回のようなスタッフ陣だったならば同じくらいヒットしたんじゃないかと思ってしまいます。少しばかり歯がゆいものがあります。
ポイントも溜まったし今のところ新海さんの作品で1番好みである「言の葉の庭」のブルーレイでも買おうかなぁと思います。

デザフェスについて

ふらっとデザフェスに行ってきました。それなりに収穫(情報だけ)もありホクホク。

デザフェスはデザインフェスタの略ですが、イマイチ名称がしっくりきていません。デザインといいつつ、出展しているものは多種多少で、音楽のライブイベントなどもあります。多少の商売気もあるので、個人的には大人の文化祭のようなモノだと思っています。他のデザイン系イベントより、わりと好きです。そんな内容ですから、どちらかというと「アート」や「クラフト」の方がしっくりくるのですが、まぁなんとなくデザフェスで定着しているので、他に適当な名前があるわけでもなし、致し方ないかなと。

ここ数年、デザフェスに顔を出すことが多いです。元々、妻の知り合いが何人か出てることもあり挨拶がてら行くことが多かったのですが、昨今の絵や雑貨の事情といいますが、流行り廃りであったり、気になる作家さんをチェックしたりと、どこかのバイヤーかというくらい名刺をもらってきたりします。ゆくゆくは雑貨屋でもやるんじゃないかと思うくらいです。

こういうイベントに出ると、刺激を受けて自分の表現欲が高まっていくのもあるのですが、自分の趣味嗜好や価値観の傾向を知る、良い機会だと思います。何が好きで、どんものにぐっとくるのか。なんせ出展の数が多いものですから、琴線に触れているかを瞬時に判断していくことになります。感覚を研ぎ澄ますという意味では結構大事な作業かなと思いました。

ソチオリンピック雑感

あまり最初から期待していなかった分、とても楽しかった五輪でした。

ロシアの勝手なイメージとしては灰色で曇り空で、ぱっとしない印象でしたが、特に開会式と閉会式はとても魅力的で、そういやバレエもサーカスもデザインも元々有名でしたよねぇと思った次第です。
  • カーリング

結果5位とそこそこの成績となりましたが、世界との差が如実に出たなぁという印象でした。小技は効くのですが、特に力で押したい時には日本は不利に感じました。素人目で見ても肝心な時のミスも目立ちましたし、国内での競技全体のレベルアップ(底上げ)が必要なんだろうなぁと思いました。



  • スピードスケート

ひと昔前はメダルラッシュの印象でしたが今回は残念。例えば500mの記録は長野五輪の時(清水が金を取った時)と比べると1秒ほど縮まっており、進歩が止まらない競技で勝ち続けるのはなかなか難しいと思いました。

  • フィギュアスケート
団体戦は割愛し、男子女子はそれぞれリアルタイムで見ることが出来ました。今回のオリンピックの主役はこの競技だったと思います。
まず男子。冒頭からプルシェンコの棄権に始まり、羽生くんのSP100点超の完璧な演技を堪能。フリーでは羽生くんがミスするとその後のパトリック・チャンの演技は複雑な気持ちで見守り、金がほぼ確定すると一人ガッツポーズしてました。そういえば大雪の日で変なテンションでしたけど。高橋や町田くんも銅メダルまで惜しい位置まできており、そもそも長野五輪の時と比べると、男子が3人も出場できてエキシビジョンも出れたのは先人たち(小塚や織田や、ひいては本田さん)のおかげなのかなぁと思いました。よかったよかった。
次に女子。男子くらべて低調で、なにより真央ちゃんのSP失敗には心を痛めました。順位的にも点数的にも、もうメダルは無理だろうと。次の日のフリーは夫婦で見守ったわけですけど、演技の途中から二人して涙ぐんでいました。BGMがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ということも相まって、もうなんとも言葉できない感動がありました。もう順位とか得点とかどうでもよくて、たぶん深く記憶に残る演技だったと思います。演技直後の佐藤コーチの表情もとても印象的でした。
もろもろの騒動については割愛。団体戦はもう少し日程に余裕があればいいとは思うのですが、男子は特に体力的に厳しそうでした。
  • モーグル
長野五輪の時から上村愛子を見守ってきたわけですが、もう少し早めに生まれていればどこかでメダルと取れていたと思いますが、残念ながらメダルに届かず。どうにもルール改正に翻弄されているイメージがありますが、仕方がないのかなと。
  • スキージャンプ/ノルディック複合
久々のメダル奪取となりました。どちらもかつては日本のお家芸と言われていましたが、これもまた度重なるルール改正に翻弄された競技だったのかなと思います。次の世代が育ってきているかが少し心配ではあります。女子は残念ながらメダルはありませんでしたが、選手が若いのでこれからが楽しみです。ラージヒルもやればいいのになぁと個人的には思います。
  • スノーボード
こちらは若手がと活躍しました。元々エンターテイメント性が強いせいか、そこまで日本人を贔屓する目はなく、どちらかというと、すごい技が見れれば楽しいよねぇくらいの感じで見ていました。それでも若い人たちが活躍してくれるのは気持ちが良いです。「スノーボードは自由なスポーツ」といい意味で気になった発言も聞けたりして、そこまで片意地はらない不思議な雰囲気の競技でした。
冬季五輪は採点競技が多いせいかなかなか釈然としない部分もあります。ジャンプ・モーグル・フィギュアスケートしかり。それでもその(あるいみ理不尽な)ルールの中で勝つための努力をすればメダルも取ることができるわけですから、社会人生活の教訓にもなりそうな所があります。なおかつ、フィギュアスケートやスノーボードについては「魅せる」ことも要求されるわけで、時の運というか、順番の綾というか、抗いがたい外的要因に左右されることも、これまたこれからの人生の教訓になりそうでした。個人的にはスポーツ(鑑賞も含めて)のいいところは、勝つ時の喜びもありますけど、負けを認め受け入れる点にあると思います。最終的な勝者は1人(1チーム)と捉えると、圧倒的に敗者が多いわけですから、過酷で残酷な世界だと思います。そいう世界に身を投じることがなかった(できなかった)我々は尊敬の念を持って見守るべきなんだろうなぁと思いました。