小論文の文章構成

どちらかというと段落構成の話。かなり機械的なやりかたで文章の構築方法を教わったので、覚えておくと字数調整がしやすくなる。

一文が長すぎないようにするというのはよくあるノウハウだが、裏を返せば基本の文型をおさえておくということになる。英語の五文型なんかが分かりやすい。その文で何がいいたいか、素朴な文型に当てはめて表現する。そこから説明が足りない部分に、肉付けをしていく。名詞に修飾語をつけたり、副詞句を添えたり、最低限の補強をしていく作業が必要になる。その後1~2文字の調整が必要な場合、形容詞の言い回しを変えたりしながら調整していく。基本メソッドとしては、中心となる軸を定めてから、周囲を補強していく。形容詞の付け方に細かいルールがあるみたいだけれども、違和感がなければおそらく問題はない。

このやり方を段落の構成でも適用していく。まず、段落ごとに中心となる文章を一文ずつ決めていく。重要なのは一段落に言いたい事は一文しかないということ。しかも、大抵の場合段落の先頭にその文章はある。つまり、逆の見方をすると、何らかの論評などの資料を読み込む場合、各段落の先頭の一文だけ読めば大まかには分かるはずなのだ。では、その中心となる文章以外の部分はなにかというと、中心となる文章の補強でしかない。パターンとしては下記の通り。

  • 言い換え。「つまり~」「別の言い方をすると、~」
  • 具体例。「例えば~」
  • 前文の中の単語の説明。「○○とは~」

補強した部分はなくても良い部分なので文量が多くなった場合は思い切って削ることもできるし、逆にある段落の文量が足りなくなった場合は、無理やり言い換えをしたり、具体例を引っ張り出したりする事で全体のボリュームを調整することもできる。

明確に色分けができると、書きながら編集することもできるので、決まった文字数にギリギリに収めることも容易になる。

小論文の構成

指南された時はいろいろなパターンを教わったが自分がハマったパターンは、結局よく言われる「起承転結」のパターンだった。おそらくこれに勝るものはないし、作文や小ではない論文、小説や脚本にも適用できる、よく出来た四字熟語だ。

とはいえ、いきなり起承転結を体現できる人は少ないと思うので、それぞれの項目でブレイクダウンしてみる。

    • テーマの絞り込み
    • 問題点の洗い出し/分析
    • 命題をたてる
    • 仮設1をたてる
    • 案1を提案する
    • 肯定的な意見を考察する
    • 仮設2をたてる
    • 案2を提案する
    • 否定的な意見を考察する
    • 「承」と「転」を踏まえて自分なりの結論を導く
    • 結論の補強をする
      • 具体例、先行的な事例など
    • 結論からもう少し考察する
      • 期待される影響や効果
      • 問題点が残るようであればその旨の記載

たぶん、このパターンに当てはめれば100点中60点程度は取れる。及第点といったところ。小論文は他の教科と違って相対評価となるので、無難な出来栄えだった場合は50点~60点くらいだと思っておいた方が良い。あとの加点は、表現力やテクニックではなく、思考が試されている。いかに普段から問題意識をもっているかどうか。何か困難な問題に直面した時に、思考停止せず、いかに考え行動しているかどうか。なおかつ、受験する学校の思想に沿うものかどうかも重要だ。例えば、発想を重視する学部・学科であれば、いかに人と違う視点を見つけられるかが重要になるし、実直さを求めるところであれば、正確に資料を読み込めているかや、論理展開に飛躍がないかなどが評価の対象になる。

追記

「結論を先に書け」という指南書もあるが、ややミスリードかなと思われる。もし結論を「起」に当てはめる場合、「起」で結論と根拠を記述し、「承」「転」でメリット・デメリット、あるいは具体例を2例ほど挙げた後、「結」では改めて結論についてもう一段深く考察する必要がある。小論文はたいてい原稿用紙2~3枚程度(800字~1200字)の字数制限があり、A4レポート用紙1枚に収まるくらいの字数だ。段落4~5程度で、簡潔にまとめなければならない。結論を先に書いても読みやすいが、「結」であらためて結論に触れることになるのでやや重複感がある。「結」がない場合はひとりよがりな印象を与えかねない。したがって起承転結に沿って構成した方が無難ではある。

小論文の禁じ手

荷物を整理していたら受験生時代の資料が出てきて、もう要らないなぁと思いつつ、ノウハウとしてはちょっと残して置きたいと思ったので、多少オリジナルも加筆してデジタル化してみる。

自分は受験の時に小論文には随分助けられて、その後の大学生活や就職活動、就職後も役に立っている実感がある。他の教科よりも比較的得意となったきっかけとして、小論文の指南をしていただいた塾の先生にまず最初にやっておくべきこととして教えていただいたのが下記の禁じ手である。これさえ避ければ良いというものではないけれども、「禁じ手」を避けることで自然と体裁は整い、後々その理由もよく分かってくるのだけれども、「こうしなさい」という正攻法よりは「とりあえずこれは避ければ後は自由」という方が取っ付き易い場合もある。姪っ子や甥っ子、あるいは自分の子どもが受験の時に小論文があるかどうかも分からないけれども、後々役立つ事があれば幸いである。

  • 「~が」「~だが」
    • 順接なのか逆説なのかはっきりしない印象を与えるので多用は避ける。
    • 順接なら文をいったん切る。
    • 逆説なら文を切って「しかし」を使う。
  • 「連用中止法」
    • 一文に動詞は一つが望ましい。
    • 例「Aという問題があり、Bとういう問題もある」→「問題点は2点ある。第一に~。第二に~」
  • 「やはり」
    • 積み上げた論証が無駄になる印象がある。
    • 独善的な印象を与えかねないので使用は避けた方が無難。
  • 「ともかく」「とにかく」
    • 「やはり」と同様
  • 「―(ダッシュ)」
    • 作文では使っても良い場合もある。小論文では避けた方が良さそう。意図がはっきりせず誤解を与える可能性あり。
  • 「・・・」
    • 「―(ダッシュ)」と同様
  • 「?」「!」・カッコ
    • 「?」「!」は固有名詞ではない場合は使用は避ける。
    • 強調カッコの多用は避ける
  • 「付け足し」
    • 文中の挿入やマスの増幅などは避ける。
    • マス目が決まっている原稿用紙の場合はそもそもルール違反。
  • 一人称
    • 小論文の場合は一人称は基本的には不要
  • 「思う」「考える」
    • 小論文の場合は不要。
  • 「気がする」
    • 厳禁。
  • 言い訳
    • 「よくわからないが~」「考えたことがないが」などは厳禁。
  • 体言止め。述語の省略
    • 論文では使用する場面はない。
    • 体言止め含めレトリック全般は避けた方がいい。
  • 決めつけ
    • 「~であるはずがない」「絶対に~」は避ける。
    • 独善的な印象を与えかねない。
    • 思考停止していると思われる。
  • 自己体験の一般化
    • 自分の体験を「一般化」「普遍化」するのは避ける。
  • 主語の欠如
    • 抽象的な文章になりがち。説得力が無い。
  • 主体性の欠如
    • 結論で「社会」や「政治」、他人に責任を押し付けてしまうのは避ける。
    • 「社会」や「政治」に潜む問題をどう解決するかを問うのが小論文。
    • 開き直りは厳禁。
  • 極論や過激な思想
    • 論理展開は一般的な常識・倫理の範疇から逸脱しない程度にする。
    • 極論を用いることはテクニックの一つではる。小論文のような短さでは使う場面は無い。
  • 「だ・である」調と「です・ます」調
    • どちらかに合わせる。
    • とはいえ小論文も作文も「だ・である」調の方が良い。文字数の節約にもなる。
  • 口語調
    • 基本的に厳禁。
    • 会話文以外では使う画面はない。
  • 適切な読点
    • 一文が長くなりすぎないようにする。
    • 読点を打つ場所
      • 長い主語の後
      • 長い修飾語の後
      • 接続助詞の後
  • 汚い答案
    • 字が上手くなくても、読める字を書く。
    • 印象が悪い答案
      • 文字が小さい
      • 文字が読めない
      • 消しゴムの後が汚い
      • 破けている