映画「TENET」

「インセプション」「インターステラー」に次ぐノーラン作品。事前情報なしで観に行ってきました。思ってたんと違うという感もありましたが、良い意味で「なんじゃこりゃー」という感想を持ち、時間を逆行する以外の説明ができず。仕組みとしては難解なんですが、テイストはスパイ映画そのもの。そして、最後は主人公たちの友情関係が切なくなる展開でした。細かいことを除けば、結局、ニールを愛でる映画で良いかなと。

今回、最初は近場のIMAXで見てきたのですが、どうもしっくりこない。よくよく調べると通常の映画館をIMAX化したものらしく、フルスペックではないとのこと。画質的には2Kレベルらしく、絵がどことなくぼやけて感じました。

ということで、1回は見てみたいといろいろ調べて池袋にあるフルスペックのIMAXでも見てみました。色も質感もパキッとしていて、臨場感抜群でした。一番驚いたのは画角でして、通常の画角では上下の絵が切れていたのを知り、これはもうノーラン監督の作品はフルスペックで見るしか無いじゃんと思うほど。カットによって画角がバンバン変わるので、最初は違和感ありましたが、余すとことなく見れるというのは良いなと。新しい体験でした。

収穫はニールでして、最初はわからなかったんですが、ハリーポッターの炎のゴブレットで出てきたセドリックじゃありませんか。いい感じにエージングした渋い男前になっており、今後の活躍に期待です。

映画・本「水曜日が消えた」

これも随分前に、観たよ・読んだよという記録。

妻の薦めで、映画→本の順で。ジャンル的にも演出的にも、空気感も好きな方で、かつ新鮮味のある色合いだったかなと。そこまで奇をてらっているわけでもないけれど、コントラストと彩度の調整は好きな方でした。MV畑の監督ということもあって、きっとこだわりがあったんだろうと思われ。

映画の方がベースになって、本の方はそのノベライズということで、ちょうどよい補完関係ではなかったかなと思いました。例えば映像で見て、演出から汲み取れる意味を、ある意味答え合わせするような、映画では表現しきれない時間軸の話を本の方で挟み込むとか、特にエピローグとか。これは他の映画でも同様ですが、映画の原作が先にある方が、互いに世界観を壊すことがないので、その方が幸せな関係かもしれないなと。

ストーリーの方は多重人格という設定を活かしつつ、モンタージュを断片的にすることで、抜け落ちた部分を補完するような、パズルを組み立てるような、半分ミステリーのようなテイストでしたが、終わってみれば程よいファンタジーものだったなーと。なぜだか分かりませんが、不意にサトラレを見たくなりました。たぶん、近い雰囲気・印象なのかもしれません。

映画「2分の1の魔法」

自粛モードが徐々に解除され、映画も公開され、いろいろ制限はありますが観に行ってきました。前後左右が空いているのはむしろ快適だったので、値段は多少上がっても良いから、この運用は続けてもいいのではと思ったり。

さて、映画の方はいかにもピクサーらしく、ファンタジーと家族愛をミックスした趣になっており。。。というか、ディズニーではなくピクサーの特徴としてその2つの要素の組み合わせのような気がしてきました。

ファンダジーといってもファンタジーの中に日常を織り交ぜて、いろんな形の家族愛の表現を試みているなと。しかも今回は、割とその現実を突きつけるような結末を用意していたりと、ほろ苦さを感じるものになっている気がします。長男なんかは結末の一部をみて「可愛そうだったね」「残念だったね」と言うけれども、大人というかこの歳になってからの感想としては、「いや、現実は案外そういうものだよ」と言ってしまえるような、苦い共感をしてしまうといった感じです。他の作品でも随所に感じることはありました、今回は結末の一部にソレを持ってきたとこで印象的でした。

それにしても吹き替えを担当した若手二人の俳優はうまかったなぁ(アテレコ未経験ってわけではないハズだけれども)

一点、そろそろ難点に感じてききたのは、ローカライズの部分。例えば文字。フォントがもうちょっとトーンとしてフィッティングさせる方法がなかったものか。とか思ったり。あと、エンディング曲。スキマスイッチや全力少年には罪はないけれど、すでにCMや他の映画でも使われている曲だったので、やや違和感あり。使いたい気持ちは分かったけれど、他の使いよう(つまり挿入歌)とかにならなかったのかなと。字幕版でみたらまた趣が違ったかもしれない。

映画「ラストレター」

久々に岩井さんの映画を見て、岩井さんの世界に浸り、泣かされました。

近年の作品はあまり見てなかったのですが、思い立って観に行きました。テーマも音楽も久々にぐっとくる映画で、従来ファンには嬉しいのではありますが、岩井さんの映画を知らない人が見た時の評価はなんとなく分かれそうだなというのが真っ先の感想です。もうちょっと言うと岩井さんの作り出す映像美は、万人受けするものではないかなと思うし、ただ、呼応する時は、とても深く響くだろうなと思うわけです。

撮影手法はさすがの一言。フォーカスの受け渡しや、ドローンによる撮影など、挑戦的なものもあれば、セオリーどおりアクションラインの制御やコマ割りもさすがでした。また、ナチュラル系の演出は最近は是枝さんが筆頭ですが、(元祖というわけでないですが)やはり子どもたちの演出や俳優たちのポテンシャルを引き出すのはさすがで、特に少年たちが群像でわらわらするシーンが印象的でした。一人二役を演じた2人の俳優もさすがでした。

構造(主要な主人公が一人不在、一人二役、手紙に行き違い、などなど)としては Love Letter を踏襲するものの、テーマとしては普遍的でもありながら、より重苦しい題材というか命題を選んだなと。青春といえば青春ですが、どちらかというとその後の人の人生の黒々とした濁流を垣間見た気がしました。それがトヨエツや中山美穂が出てくるシーンであったり、描かれていない高校卒業後の陰の部分があり。それに対比するかのように高校時代や子どもたちの青春が描かれていました。Love Letter の時よりそのコントラストがきつかったなと。そして、壮年や初老・老後の人々の営みが垣間見れると、岩井さんも自分たちもそれ相応に歳をとったのだなと。

そして、最後の最後で「ラストレター」の意味を回収していくのですが、それはたぶん上の世代から下の世代への普遍的なメッセージなのかなと思うところもあり、時代が経ってもこのメッセージは色褪せないだろうなと思いました。