映画「哀れなるものたち」

アカデミー賞にもノミネートされているというのと予告編が面白そうだったので。あと好きな役者さんたち(スパイダーマンやマーベル関係)だったからというのもあり観てきました。

思った2-3割増しくらいで18禁のシーンが多かったけども、それはそれとして、アートでポップでアイロニーが効いた映画だったと思います。

一瞬雰囲気はアメリの香りがありつつ、シザーハンズとか、チャーリーとチョコレート工場のようなティム・バートンの味わいに近いかなと。

ストリートは解説をフェミニズムの歴史を丁寧になぞらえているらしく、なるほどなと思いつつ、結末は解放感やカタルシスがあったというと、そうでなく、ちょっと皮肉めいていたのかなと。アート映画なので解釈は色々あると思いますが。

音楽だけ面白いアプローチではあったけど、好みの問題かなと思いつつ、個人的にはもう少しすっきりした音像の方がよかったかなと。

別軸で面白かったのは、主人公のベラの発達表現。ひ弱なリスニング力ではありますが、英語を聞き取ると、幼少期は単語の羅列、だんだんと短文になり、そのうちに過去や未来の時制を扱うようになり、関係詞を使うようになり、慣用句や比喩表現を使うようになり。なるほど、英語の表現はそうなるのかと発見がありました。エマ・ストーンの発音が分かりやすいのもあったかも。

2023年振り返り

今年は映画やドラマを例年よりよく見た気がする。

  • 大河ドラマ「どうする家康」
    • 今年も完走。賛否両論あったものの最新の研究を踏まえた解釈と、脚本の妙技に感心した。長男も完走し歴史に興味がでたらしい。
  • 朝ドラ「らんまん」
    • こちらも完走。久々の男性主人公。実際に身近に居たら距離置いちゃうだろうなと思いつつ、演出のおかげでそこまでストレス無く見れた。
  • 夕暮れに、手を繋ぐ
    • 久々の北川さんの痛々しいドラマ。北川さんの脚本はいつもグサグサくる。良い意味で。単なる恋愛ものではなくで、自分の力との向き合い方、仕事の向き合い方、生き方を問いかけてくる。この歳になっても考えさせられる。
  • VIVANT
    • 世間の盛り上がりにつられて視聴。今までの日曜劇場のごった煮のよう。
  • だが、情熱はある
    • オードリー若林と南海キャンディーズ山ちゃんの悲喜こもごもな半生を描いたドラマ。どちらかというと若林より。こういうドラマはあまり面白くなくなる印象があったけど、ストーリーが進むにつれて現実と虚構がごちゃっとなったのが良かった。中でもM-1敗者復活戦のシーンでフル尺の漫才のクオリティが高くでびっくりした。
  • ブラッシュアップライフ
    • タイムリープものだったけども設定落ちにならず新鮮な展開だった。主人公たちと同年代ということもあって、懐かしさもあった。

映画や特筆したいのは割愛。

長男と次男が同じ学校に通う最後の年。運動会や音楽会など一通りイベントは無事終えられて良かった。長男の方は小学校最後の年ということで、なんとなく思い出づくりに力を入れていそう。楽しそうに登校しているのがなによりも良いかな。次男はそろそろ勉強時間を増やしていく感じ。

仕事の方はいうと春から完全に現場復帰したものの半年くらいリハビリ期間のようだった。これからもうちょっと頑張る。頑張れる。

英語の方はぼちぼち続けていて、TOEICはなんとか目標の最低ラインは超えた。まだ伸びしろがあると考えればもうちょっと頑張るのを続けてみるかも。

趣味は再開できず。定期的に自作の曲を聞きたくなる時期が相変わらずやってくる。手持ちのiPadでDTMっぽい事ができることが分かったので、何かするかも。それかやはり単純にプレーしたいから鍵盤が欲しい気もする。

映画「君たちはどう生きるか」

ネタバレに遭遇しないうちにさくさくみてきた。

何も事前情報無しにひたすらストーリーを受け取るのは久々の体験で、こういうのもたまには良いなと思ったのと、個人的には刺さる内容でもあった。ただ、これは今までのジブリ作品に触れてきた積み重ねがあった上での話なので、単体の作品として見たときは、宣伝しづらいだろうな、というのも理解できた。

ストーリーも音楽もひたすら自制的・内省的で、「風立ちぬ」ほど苛烈さは無かったものの、「私はこうやってきた」というのを、ぽんっと提示され、それは淋しくもあり、かつ80歳過ぎの死生観も垣間見れたような気がした。

コミカルにしようと思えばできそうな、感動的にしようと思えばできそうな要素はあったものの、あえてなのかなんなのか、さらっときてしまう。もう少しインコの世界観を描く方向性もあっただろうに導入描写がない。クライマックスでは母子の時空を超えた邂逅なのに、母は「おまえは本当にいい子だね」っとさらっと言ってしまう。盛り上がらない。予告編は作ったようだけど、素直にこのトーンを伝えてしまうと興行的に厳しいと判断したのだろう。ゆえに今回の施策に至ったのでは。

音楽はやや不満だった。久石ファンなだけに期待値が高すぎただけかもしれない。久石節は無かったように思う。あえてそうしたのだろう。正直印象に残っているメロディラインがない。そもそもBGMの割合が少なかったようにも思う。

キャストはすぐに分かった人もいれば、分からない人もいた。早くパンフレットが欲しい。

映画「すずめの戸締り」

やや惰性の雰囲気もありつつ観てきました。もう一回くらい観たいけど、前の2作よりはエモさは薄れたので、やや熱は引いてしまったかもしれない。

この映画は前提条件が難しくて、東日本大震災を経験しているか、ジブリをそれなりに見ているか、星を追う子どもを観ているか、などで、感想が全然変わるだろうなと思う。

震災文学として

パンフでも語られてたけど、震災から10年以上経ち、東日本大震災を経験した人が徐々に少なくなっている。経験者にとって当時を想起させる描写が幾度となく登場するが、当時の生々しさを伝えるのにはちょうど良いのかもしれない。まだ前2作はオブラートに包まれた比喩的なものだった。生々しすぎると抵抗ある人もいるかもしれない。なので感じ方がここで変わる。これは朝ドラでも見られた現象で、震災直後の「あまちゃん」では直接的な震災の描写は避けられていたが、「おかえりモネ」では生々しさがマシマシの設定・描写だった。

ジブリのオマージュとして

色々な演出の符号として、ジブリの影響が伝わってくる。これもパンフの中で語られているか、魔女宅をあえて?だいぶ?意識したものだったと。そこで思い当たるのが「星を追う子ども」という作品。奇しくも震災直後に発表された新海さんの作品。この作品の特徴的だったのはジブリの好きなところ全部乗せみたいな作品だった。これでの新海さんの純文学的な世界からはかけ離れた作品だったので、期待値のズレを感じる部分もあるが、ジブリ以外のスタジオから当時もっともジブリらしい作品を作り出したのには驚きだった。今回はソレの踏襲だった。前2作と比べると情緒的なモノローグやPVのようなエモーショナルな演出は封印された。こういうジブリ風味の演出もできるというところを見せつけているかのようだ。「新境地だ!」という感想を持った人もいるかもしれないが、自分としては「そっちで来たか」という感じだった。決してネガティブな意味ではない。

とはいえ、新海さんのらしい要素(年上女性と少年/青年の交流)は残っていて、芹澤が良いキャラなので、彼を愛でるだけでも味わい深い作品になるかもしれない。ただ、これまでよりはエモさをくすぐる演出が少ないので刺激不足に思う人もいるかもしれない。故に、自分の中で今ひとつ盛り上がっていない。

映画「ハケンアニメ」

観たよという記録。いろいろ考えを巡らせても脇道に逸れて迷走しそうだったので。

  • こらは良質な仕事ドラマだった。
  • イチからゼロを生み出すジリジリとした焦燥感というのは痛いほど共感したし、そうだったなと思い出した。
  • 今現在、会社員としてはプロデューサー両名に感情移入しっぱなしだった。
  • 窪之内英策さんの絵を堪能した。ここ十数年はアーティスト活動が中心だけど、ツルモクの時代から知ってる自分としては、良質なアニメとして見れるのは感無量。
  • アニメ制作現場のアップデートができた。正確には今はもっと違うらしい。細かい経緯はおいといて、デザインプロセスを考えるのは楽しい。
  • 自分の作品が誰かの人生に影響を与えたかもしれない話
    • ここから脇道。映画を見ていて思い出した。
    • 自分の大学の卒業制作を見て研究室に来たという後輩がいた。
    • 正確にはその当時の研究室の活動だったのかもしれない。卒業制作もグループワークだったし。
    • 言われた時は嬉しかったけど、戸惑いと怖さもあった。
    • 彼らはそれぞれ特異な世界で活躍している。
    • なんとなく彼らの行く末は見守り・ウォッチしている。