風の博物誌 その3

 これはほんの一例だが、自然淘汰という観点からすると、進化途上のどこかで発現する天気の変化に対する意識的自覚には、生存に役立つ大きな価値がある。どこか虚弱なところのある人びとがまずれに気づくのは切り札が必要だからだろう。これがあれば出発から先頭を走り、終点でも適者の一員として残れる公算が強くなる。

 あらゆる天候の変化を示す目安として天気図の出現以前にもっとも役に立ち、広く使われていたのは風向である。

(中略)

 天候変化をめぐって語り継がれて蓄積されてきた各地の伝承と風の信号とを合体させると、見事な情報源となる。

ライアル・ワトソン, 木幡和枝訳. “風の博物誌”. 河出書房新社, p382, 1990.
よくよく考えれば、昔は天候によって生きるか死ぬかというくらい天気と生活は直結してたわけだしなぁ。
今でも実家の方では風向によって季節が分かります。たまたま分かりやすい土地だったかもしれませんが。