消費金融と保険のCM

CMは時代をうつす鏡と言われますが、当時の文化的背景やトレンドが反映されることが良くも悪くもあります。というのも、どうしても当時は負と思わなくても後々負の部分だったCMが分かることがあります。
その数々のCMの群の中で、数年前まであまり気に入らなかったCM群がありました。
それは消費者金融のCMです。今でこそ(たばこのパッケージのような)啓発的な内容の傾向がありますが、数年前まではそのような姿勢はまったく見受けられませんでした。過剰債務による自殺や、過激な取り立てが社会問題化する度に、現在の形になったと思います。現在ではCM自体の本数も若干減りましたし、内容についても健全性が増したと思います。


ここ最近で、私がもっとも気に入らないというか、ある意味気になっているCM群があります。
それは保険のCMです。
特に外資系のCMなのですが、月々の保険料の安さ・保証を売りにして、また手軽に申し込みできる事を謳っています。確かに今まで大御所と呼ばれるところの保険と見合わせても驚くような安さです。さて、私の危惧するところは、その安さの裏を十分に理解しているのだろうかということです。
これについては具体的に体験があります。
2年前に祖父と父が他界したのですが、二人ともメインの保険(某日本企業)の他にサブとして外資系の保険にも加入していました。その残務処理やらを手伝ったのですが、メインの保険会社では担当のエージェントがいまして、その方が親身になって手伝って頂いたので、滞りなく処理は済んだのですが、外資系の保険の窓口が電話対応のみで、必要な書類やらは本人側が集めなければなりません。分散した情報を自分で集めなければならないのです。心身共に疲れていた状態ではそれは大変な苦痛でした。
個人的な感想ですが、「入院一日○○円」という保証があったとしても、本人(あるいは家族)が申請しなければ外資系の保険会社はまったく動き出してくれません。しかも、動き出したとしても書類をよこせと言ってくるだけです。保険が必要になる状況時というのは本人も家族にも余裕がないことが多いと思います。金銭的にも余裕がないので保険が存在するのですが、心理的にも圧迫された状況で、そのような事務手続きをできるかどうか疑問に感じています。
その点、従来型の日本の保険会社は良くも悪くも、エージェントと加入者(家族も含めて)とずぶずぶの関係になりがちですが、本当に困ったときは親身に対応してくれます。実体験としてそれは非常に心強いものでした。なぁなぁになるというわけではなく、エージェントが緩衝剤のような役目を果たしてくれるので、外資系の保険会社と同じような処理をしているのでしょうけども、エージェントの信用の元、ある程度融通が効くようになるのだと思います。
外資系の保険のCMが氾濫する中で、日本の保険会社はその辺りのことがよく分かっているらしく、「親身になる」という点を売りにしたCMを展開し始めています。谷川俊太郎の詩などがしんみり身にしみます。
どちらを選択するかは個々人の判断なので、どちが良いとは一長一短なのですが、「安さ」だけを売りにした商品やサービスが隆盛してくるのが、やや不健康な気がして、「こんなはずじゃなかった」という人が多くならないことを願いつつ、考察を終わります。