CECIL

 いろいろ注目したい人たちはたくさんいるんですけど(音楽に限らず)、刺激は受けるけれども、自分は何もできていないような気がして、最近は控えていました。
 今回、注目したいアーティストは『CECIL』という集団。ある方面ではそれなりに有名だし、今更と言われるかもしれませんが。私事で、3月になって少し精神的に回復して(そもそも2月があまりにも沈みすぎた)、そんな矢先に聴いた曲が彼らの曲だったわけです。なんとなく「キテル」んです。理由なんてありません。昔の自分だと「なぁなぁとして嫌い」だと言っていたかもしれませんが。自然と流していても違和感がないような、良い意味で無難なのです。
 私は長期的精神的流れを「concept」と称していますが、その流れが彼らの音楽となんとなく合っているようなのです。現在は「cafe」から「walk」へ移行している最中なのですが、ちょうどどちらの要素も持ち合わせている音楽だと思っています。いわゆる、癒されるしポジティブにもなれる。
 加えて注目すべき事はカンバラクニエが中核メンバーとして参加していること。彼女はイラストレイターとしてかなり有名。あの「orange pekoe」のアルバムジャケットを描いた人でもあります。いろんなところで人はつながっているんだなぁと思いつつ。
CECIL HP:http://www.berry-records.com/CB/Frames.html

文化庁メディア芸術祭

 さぁ、行ってきました。文化庁メディア芸術祭。去年がすごかっただけに、今年もだいぶ期待して、恵比寿まで。その前が徹夜でショートフィルムを見ていたのでだいぶつらかった。
・デジタルアート[インタラクティブ]部門:[大賞]ソシアルモバイスズ
 とりあえず、お馬鹿ちゃんです。しょーもない携帯電話。でも、それはそれですごく楽しい作品でした。作品を紹介する映像がうさんくさい通販の番組みたいで、作者が外国の方なのですが、通訳もなんかやる気ない感じがすごく良かった。とにかく笑わせていただきました。
・デジタルアート[インタラクティブ]部門:[優秀賞]ヒズマスターズボイス
 声に反応してボールがころころ転がるというもの。学芸員の人が感じが良さそうな人で面白かった。名前を呼んだりしてて。とりあえず、見ていて気持ちいい作品でした。
 やっぱり、インスタレーションは実際に体感しなければ何の感動も得られないので、一番刺激が強かったです。あと気になったモノを羅列。
■デジタルアート[インタラクティブ]部門
・[特別賞]Rez:ちょっと話題になったゲーム。
・[推薦作品]コムタイプ:古いタイプライターを利用した、チャットみたいな。なんか打ってて気持ちよかった。
・[推薦作品]ストリートスケープ:言わずとしれた作品。去年のデジスタグランプリです。
■デジタルアート[ノンインタラクティブ]部門
・[特別賞]「ほしのこえ」The voices of a distant star:桁外れにレベルの高い自主制作アニメ。
・[奨励賞]フィッシャーマン:2Dと3Dとか見事に融合したCG作品。
・[推薦作品]タナバタ:ノスタルジィなCG動画。
■学生CGコンテスト
・静止画部門[優秀賞]ねこふぶき:技術先行の作品が目立つ中、この作品だけ「かわいい」作品でした。見ていてほっとする。そんな画です。
 文化庁メディア芸術祭のいいところは、コンスタントにイイ作品を選考しているところです。逆に言えば選考基準が見えにくいかもしれませんが、かえってカテゴリが狭くなるよりは、こうしてイイ作品だけを集めるコンペがあっても良いと思いますけどね。

映画「猟奇的な彼女」

 [スタイリッシュなラブコメ]のイメージで見に行きました。その名も彼女が猟奇的らしい韓国映画。このネーミングにしたのがそもそもの引きつける要因でしたね。直訳だとどうなってたか知らないけれど。CMやポスターの画からしてそういう印象を受けたわけで、ちょっと期待していったら。あらっ、普通のラブコメじゃん。画はきれいだし、技術もしっかりしてるし、ストーリーも面白いし。主人公の二人も魅力的だし。韓国も日本もあまり変わりないのだなぁとつくづく思ったりしました。徴兵制という現代日本にはない文化があって、少しばかりうらやましかったりしたんですけど、ほとんど無国籍で街並みも日本とそれほどかわりなく、すんなり見れましたね。最後はちょっと感動的で、時期が時期だけに「運命ってあるなら信じてみたいもんだ」と思ったり。
 さてさて、この映画のリメイクをハリウッドでやるって、それはちょっと無理だろ。欧米人が演じるとなんとなく合わないきがする。たぶん香港でやっても合わない。リメイクできるとしたら日本か中国だと思う。リングはとても成功したとは言えないし(日本では)、欧米向けにリテイストされたストーリーになると思うので、それならばオリジナルを見た方が良いと思うのです。
 例えば、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を日本人がなんちゃって西洋人の格好をしても、そもそも合うはずもなく、似たようなシノプシスの、時代物のお家騒動の渦中に両家の彦と姫の悲恋モノの方がずっと合うわけで、逆にそれは西洋では合うはずもない。
 さてさてさてさて、結構こういう彼女がタイプだったりします。決して殴られたいわけではなくて。。。典型的優柔不断男VSストレートガールがラブコメの鉄則。何あこがれてんだオレわ。

「猟奇的彼女」公式HP[http://www.ryoukiteki.com/]

私の映画論Ⅱ

□シネマトグラフィー
 シネマトグラフィーとは何ぞや?いわゆる映像における文法である。そんなものを意識しながら映画を見るなんてどうかしてると思われるかもしれないが、私の映画鑑賞はたいてい右脳で感動し左脳で冷徹に分析していることが多い(おそらくは)。技巧に走った頃は映画の1カット1カットを分析していたし、好きだった映画は映像のつながりから台詞まで全部を記憶したものだった。
※技巧的な話や歴史なんかは文献を読んでいただければ分かることなので、私なりのシネマトグラフィーを解釈してみたいと思う。
 メディアにはフォーマットが存在する。言語にしろ本にしろ、また映像にしろ然り。ある程度、そのフォーマットに従わなければ人に伝えることができない。映画という言語のフォーマットを考えるとき、つまりシネマトグラフィーを意識することで、本来その映画が伝えたいことをより確実に受け取ることができる。かえって意識すると感動しにくいのではないかと危惧されがちだが、それは感受性の問題で、まずは正確に制作者の意図をくみ取らなければ感動もなにもないだろう。シネマトグラフィーを意識するとはいえ、良い映画は無駄なカットも技巧も演出もなく、何事もなく見終える事ができる。下手な映画は指摘したくなり、映画どころではなくなってしまう。
 視聴者がシネマトグラフィーを知らなければならいというものでもない。制作側は必須だといえる。映像という一方的なメディアは制作側が視聴者に対して最大限の考慮をしなければならない。内輪ネタでおわったり、「表現はかっこいいんだけどね」独りよがりで終わっても困る。
 去年あたり、映画がすごくつまらなく感じたときがあった。先のストーリー展開は予想範疇の中だし、「これはナニナニの技術だー」「誰々がプロデュースしてるー」なんて言っていた。口では感動と分析を両立していると言っていながら、実際はあまりそうでもなかったのかもしれない。とは言いながらも、去年の秋くらいから、「でも、やっぱり映画が好きだな」と思い始めてきた。シネマトグラフィーを意識して見なくなったというわけでは無いが、ストーリーの先が読めたとしても素直に感動できるようになってきた。『努めて鈍感に』意外とこれが今年の目標かもしれない。

MUSIC VIDEO:A Vehicle for New Sensitivity

 先日、東京都写真美術館で行われている『MUSIC VIDEO:A Vechicle for New Sensitivity』に行って参りました。2月20日までなのでまだの人はお早めに。もともとMVは好きな方だったので少しは見たことがあったのですが、これはこれでかなりの衝撃で、技術と質の高さはそこらの映画やテレビを勝るものだと確信しています。前々から、単なるプロモーションとしてのロールを超えた表現として注目されてきたMVですが、特に今世紀になってからは、すでにデジタル技術の実験場ではなく、まさに「映像」と「音楽」の融合が決定的になってきました。
MVの種類 
MVには大きく分けて2種類あります。『LIVE型』『STORY型』です。今まではほとんどがLIVE型でその表現方法にしのぎを削ってきたのですが、次第に映像に『STORY』が含まれてきます。歌詞のイメージや、まったく違うがトーンは損なわないものなど。現在では『LIVE型』『STORY型』も融合し更に新しい表現を追求している時代です。ショートフィルムみたいな試みもいくつがあります。既にただ音にタイミングを合わせて映像を当てる時代はとっくに過ぎ去りました。
これからのMV
 『A Vehicle for New Sensitivity』を日本語にすると『新しい感受性をのせて』となります。別にMVに限ったことではなく『表現』と包括的な意味合いからして、多くの人が『感受性』の重要性を感じ取っているのではないでしょうか。いわゆる「私はクラシックが好きだから~」とか「~こそロックだ」とか、もはやカテゴリに分けることは不可能になりつつあります。価値観の多様性が原因だとしても、イイものは限りなくイイのです。主義や形式を度返しして、個々の感受性がそれに反応するかが問題になります。様々な感受性が誕生し、吸収され、更に新しい表現につながり、これからもそうなるでせう。
Director:Michel Gondry

[The Chemical Brothers/STAR GUITAR]
[The Chemical Brothers/LET FOREVER BE]
[Daft Punk/AROUND THE WORLD]
etc…

 とにかく熱くて格好良すぎます。どうして海外のMVはここまで熱くなるのか不思議です。生理的に気持ちよすぎるのです。
その他、注目の楽曲etc…

[CORNELIUS/DROP DO IT AGAIN]
[砂原良徳/LOVEBEAT]
[石野卓球/Polynasia]
[TAKKYU ISHINO featuring TABITO NANAO/ラストシーン]
[電気グルーヴ/Nothing Gonna Change]
[FANTASTIC PLASTICMACHINE/BEAUTIFUL DAYS]
[Mr.Children/君が好き]
[SUPERCAR/YUMEGIWA LAST BOY]
[Beck/The New Pollution]
[The Rolling Stones/LOVE IS STRONG]
[AIR/Hoe Does It Make You Feel]
[Kraftwerk/MUSIQUE NON STOP]
あと中野裕之さんがディレクターをした洋楽があったのですが忘れてしまいました。

上の展示以外で個人的に気に入ってるMVetc…

[Bonnie Pink/Tonight the Night]
[電気グルーヴ/Shangri-La]
[電気グルーヴ/Stereo Night]
[宇多田ヒカル/traveling]
[宇多田ヒカル/Can You Keep A Secret]
[宇多田ヒカル/SAKURAドロップス]
[宇多田ヒカル/FINAL DISTANCE]
[FANTASTIC PLASTIC MACHINE/CTIY LIGHTS]
[椎名林檎/真夜中は純潔]
[椎名林檎/茎(STEM)]
[中谷美紀 with 坂本龍一/砂の果実]
[SUPERCAR/LUCKY]

とりあえず、思い出したものから羅列したのでまだまだあると思います。