映画「言の葉の庭」

微妙に独りの時間ができてしまったので、そういえばと思いたち見て来ました。

ひと言でいえばこれはもう文学。人文学だと思うのです。
新海さんの作品は前作(星を追う子ども)はまだ見れていなくて、ちょっと断絶があるのですが、なんとなく「秒速5センチメートル」に戻ってきか感がありました。秒速ほど「えぐられる」ことはないですけど。SFモノも良かったですけど、こういった現代を舞台にして、じわじわと人間性をあぶり出していく方向性の方が好きです。
どうしてもジブリと対比されがちですが、自分の中ではだいぶカテゴリが異なっていて、文学でいうと大衆文学よりは純文学に近いのかなと。といってもアート系のアニメーションとも違いますし、表現手法だけでなく、以前はあのアニメーションを見るだけでも価値はあると思っていましたが、新海さんの作家性にも独特の魅力があるのかなと改めて思いました。そういった方面では村上春樹と対比されますが、世代が近いせいもあると思いますが、新海さんの作品の方が断然共感が持てます。
少し話題がそれますが、この映画は一律1000円で鑑賞でき、その上、半券を持っていればその場でBlu-ray・DVDを購入できてしまうという面白い手法を取っていました。リピーターにはそれほど期待していないのか、熱があるうちに買ってもらった方がいいという判断なのかよく分かりませんが。1000円だとお試し価格でファンを開拓する意図もあるかもしれません。実際に上映後に「初めてみたー」という声がちらほら聞こえて来ましたし。
本編の前にショートフィルム「だれかのまなざし」(野村不動産のPV?)が上映されたのですが、こちらが意外なほどぐっと来るものがあって、思わず泣いちゃいそうでした。