身売り

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比喩の一つに「擬人化」がある。
表現方法によく用いられる手法で
特にこの手の広告に応用されると自己矛盾というか
まるで「身売り」のようなシュールな一面が見えて面白い。


アンパンマンが「僕の顔をお食べ」と同じように、「身売り」する表現はいくつかある。
「だんご三兄弟」だって、自分たちが食べられることを承知している。
「泳げたいやきくん」だって、逃避しながらも、食べられることへの運命を受け入れた。
擬人化は容易な表現方法だと思う。
その一方で、擬人化したものに日常性を与えるとさらに面白い。
けれども、擬人化させるものによっては、通常、人間の倫理観から外れるものが当然でてくる。
食べ物は「食べられるもの」なのだから、「食べられること(身売り)が生きがい」になる。
ハサミやナイフのような道具は「切るための道具」なのだから、「切ること(破壊行為)が生きがい」になる。
子供の絵本とかをみなおすと、大人が一見して、「ためらい」を感じてしまうことが多々あって、それでも、子供の頃はそんなことに何の違和感もなく楽しんでいた。
「僕を食べて!」と必死に主張すればするほど、必死に働くサラリーマンとダブって見える。
だから、アンパンマンにもだんご三兄弟にもたいやきくんにも哀愁を感じてしまうのだ。