『やはり』

『やはり』という言葉
前の状態とか他のものとかと(結局は)違わないこと、予想・期待の通りであることを表す語。①前と同様。依然として。②予想にたがわす。③期待どおりに。何のかの言っても結局は。
【岩波国語辞典第4版引用】
 論文を書くときに一つの鉄則がある。『やはり』を乱用しないことだ。論文でなくても、論理的な話をする場合に『やはり』を頻繁に使用するのは避けた方が良いとされている。理由は、『やはり』を使用すると今までの論理的議論の積み重ねが一瞬のうちにして無意味になってしまう可能性があるからである。最初から予想できるのであればそれを明確に言及した上で、尚かつ、有意義な議論を積み重ねなければならない。「結局言ったとおりになったでしょ」というような結論では、まるで諦めているような、悪い印象を与えかねない。もちろん正しく使用すれば『やはり』という言葉も有効に機能することもある。しかしながら、現在ではこの言葉を使いすぎているような気がする。
 誰が使いすぎているのか?我々も『やっぱ~』と連呼することも多い。けれども一番よく耳にするのがいわゆるTVに出てくるコメンテーターや評論家・あと代議士と呼ばれる方々である。『やっぱり~ですよね』このようなコメントを連呼する。少々不快感を覚える。あなた方には予想範疇かもしれないが、素人の我々には分からないのだからもっと分かりやすく説明して欲しい。加えて、たいてい『やはり』の後には結論が述べられることが多い。しかし、『やはり』『やっぱ』『やっぱり』を乱発されると、いったいどれが本当に言いたいことなのか分からなくなってしまう。
 普通の会話で『やはり』が多用されてしまうのは仕方のないこととして、言葉を武器として生活している人にはちゃんと使用して欲しい。『やはり』『やっぱ』『やっぱりさ』ってあんたたちはだだっ子じゃないんだから、そんな陳腐な言葉を使わなくても人々を論理的に納得させてみて欲しいものだ。