ロシアW杯総評

自分が観てきた中でこれほど心動かされた大会はなかったと思う。そういった意味では感動したわけだけども、「感動をありがとう」とはならないし、ベルギー戦の敗戦は今だに悔しい。ベスト8に届きかけたあの数分間は至福の時間であったし、数分後には打ちのめされ、その反動はひどいものだった。上位国相手に真っ向勝負で渡り合えそうだった手応えのような感触だけが今後の希望の欠片のように感じた。

思えば大会前から散々なもので、解任騒動から始まり、壮行試合含めなかなか期待値があがらなかった。期待値があまり高く無い方が、活躍した際に喜びも倍増になるので、ネガティブな印象ながらも「南アフリカ大会みたいになれればラッキー」くらいには思っていた。結果似たような展開でもあったし、その時とは断然レベルが違っていた。

ブラジル大会では「俺たちのサッカー」がことごとく否定されたけれども、今回はそのバージョンアップのような形だったと思う。実質メンバーはそれほど変わらないし、キャラクターも近い。違うのはこの4年の積み重ねと、コンディションの良さだったようにも思う。結果、これが日本らしいサッカーなのかなと。クオリティを保つことができれば上位国を追い詰めることができる。苦手だった南米相手にもなんとなく通用しそうな雰囲気があった。(10人相手のコロンビアに互角の内容だったのやや微妙な印象は否めない。練習試合のパラグアイ戦は勝ったけど、相手のモチベーションは低かった)ベースはおそらくこのままで間違っていないんだろう。

しかしながら、不足している部分は改めて感じる。ベルギー戦の敗戦を省みると、足りなかったのはBプラン。現代サッカーは2つ3つの戦術を刷り込むのがデファクトになりつつある。それを探り合い試合の中で変化させていく。日本にはそこまでの深みがなかった。2点差でリードした際、守り切る戦術に切り替えることができなかった。ベンチメンバーを見てもその絵が思い浮かばなかった。それよりは現状のバランスを重視したのだと思うが、それが耐えきれなかった。森重や青山がいればもう少し違ったのかもしれない。

もしかしたら攻めきるプランもあったかもしれない。それも素人目からも絵が描けなかった。俊足の浅野や永井がいればカウンター戦術に切り替えることができた。ベルギー戦で厄介だったのが、ベルギーのDF陣がいまいち「ゆるく」、3点目を取れそうな雰囲気がたびたびあり、その誘惑に乗ってしまった感がある。最後のCK、なぜ変化させられなかったか、なぜDF陣が上がってしまったのか。

後日、ベルギーがフランスに敗戦した試合展開を見ると、やや似たものがあった。フランスは後半早々に先制すると、FWをどん引きさせてまでもその1点を守りきった。なぜその切り替えが、日本で、2点目取ったあとにできなかったのか。興行としては面白い試合だったけれども、結果が全てとグループステージ勝ち抜くために腹を括ったのだから、なぜそれがもう一度できなかったのか。タラレバは禁物であるが非常に悔やまれてならない。

4年度はおそらくメンバーがガラッと変わるだろう。その前に東京五輪もある。今名前が上がってくる人以外でも新しいスターが出てくることを期待したいし、Jリーグも含めてどんどん盛り上がって欲しい。

VARについては賛否両論あるが、個人的には賛成である。誠実な人が報われるのが一番良い。PKが増えたという否定的な面もあるが、PKが取り消しがったのが象徴的だろう。ただし、適用される部分が「ゴールや退場などに関わる重大な誤審を防ぐ」なので、どうしてもペナルティエリア内での適用が多い。適用されない部分とのコントラストの差が出てしまい、判定のレベル感に統一感がなくなってしまうのがやや違和感ではあった。

例えば、フランスとクロアチアの決勝戦。フランスの先制点のFKは、あれはグリーズマンのダイブだっただろう。その後、クロアチアが同点に追いついたあと、VARでクロアチアのハンドがとられPKとなった。主審は判断を下すのに随分時間をかけていたように思う。個人的にはやや厳しすぎる印象がある。おそらくVARがなければそのまま流していただろうし、あるいは、例えばもし、先のダイブの可能性が少し残っていると主審が感じていれば、「調整」して流していた可能性もある(主審がゲームを壊したとかよく言われることがある。先のブラジル杯でも西村さんがやり玉に挙げられていた。ルールとしては正しい判定をしたが、興行面から見るとゲームを運営するという点では賛同を得られなかった)

審判にはそういったゲームの流れを調整していく事も求められているように思える。そういった中でVARの導入については、うまく活用していって欲しいけれども、簡単にいうとペナルティエリア内外で判定の品質が異なるようだと、なかなかプレーヤーとしてはやりにくいかもしれない。それならば、ペナルティエリア外でもVARの権限をもう少し強くしてもいいのかもしれない。誠実にプレイしていた人が報われる世界であって欲しい。

ブラジルW杯総評

既に記憶もおぼろげなのですが、なんとももどかしい内容と結果になってしまいました。
ザックJAPANについていうと、奇しくもドイツW杯をなぞるかのような内容と結果でございました。調整不足・経験不足・実力不足とないないづくしなのですが、強いて良かった点をあげるとするならば、それなりに日本も研究される対象になったのだなと思いました。今までのW杯では、どちらかというと、ややなめられた状態で、相手の隙を突いて、勝ち星を拾ってきた印象があります。最初のコートジボワール戦で左サイドが機能不全になった時、そりゃ相手の長所を消しに来るわな思ったわけです。そこでBプランに行くと思いきや、なかなか機能せず。最終手段でパワープレーになった時は何じゃこりゃと思ったわけですが、こういった負けを味わうこともサッカー観戦の味わい深いところです。
個々の選手についてはなかなか評価しがたいですが、いわゆるインテンシティ(未だにいまいち使い方が分からない用語)を感じるプレーをしていたのが、内田であったり長谷部であったり、吉田であったり。コメントの端々にも感じますけど、メンタルという面ではこの3選手はしっかり準備ができていたようでした。ただし、フィジカルでいえば怪我明けというのが悔やまれるところです。攻撃の選手はいわゆる空回り状態で、そこでまとめ役になって欲しかったベテランも空回りしてしまったので、ザックさんとしては賭けに出たと思いますが、見事にハズれてしまったのかなと思います。
まるでドイツW杯の再現したかのような内容と結果でしたが、レベルとしては少なからず積み上がったものを感じましたので、次の監督も決まってどういう方向性になるか分かりませんが、一進一退、次こそは一進できるように、着実にレベルを上げていって欲しいなと思います。

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いよいよW杯なわけで

強化試合を見る限りあまり心臓によくありません。よく点はとれるけどよく失点しており、いつからこんなチームになったのやらと思うばかりです。相手チームを見る限りどの試合でも無失点では済みそうになく、とにもかくにも1点でも多く取って勝ち切るしかないのだなと思うと、逆に楽しみでもあります。とはいえ先制点を与えるのはよくなく、先制してダメ押し点を狙うというのが理想の展開なんでしょうけども。
背番号予想はピタリとあたってしまったので新戦力を中心に何人か期待したい選手を以下に。
・青山
ザンビア戦で見せたあのロングパス。あとミドルシュートも魅力的なので、長谷部の回復次第ではありますが、スーパーサブ的に投入されるんじゃないかと思われます。スーパーサブ遠藤もそれはそれで良いのですが。で、できれば柿谷や大久保がセットで使われると思います。ギリシャ戦以外はたぶんDFラインの裏にスペースができやすいので、有効なんじゃないかなと。
・齋藤
こちらは逆にギリシャ戦や守りを固められた時に投入されるかと思います。今のメンツは高さに乏しいので、ドリブルでかき回す役を担うかなと。
・森重
ザンビア戦のあのターンは鮮やかでしたが元々足元がうまい選手ですし、実はFKなんかもいいもの持ってます。高さも充分ですし、先発をもぎ取って欲しいです。
あとはもう頑張ってもらうしか無いですが、不調だのドイツの二の舞いだの逆張りするような批評が目につきますが、まぁ確かに失点は多いので不安ではありますが、試合のスタッツを見るとそこまで悪くないので、実はそこまで不安ではないです。自爆するのはいただけませんが、玉砕する分には次のステージへの糧となりますし、ここまで攻撃的に出た日本代表がどこまで通じるか楽しみでもあります。もしこのスタイルで予選を突破できるようであれば、日本のサッカーのオリジナルのスタイルとして定着していくのかなと思います。

W杯メンバーについての雑感(2014)

事前に予想していたメンバーとは3名違っていました。
細貝→青山
工藤→齋藤
豊田→大久保
それがサプライズといえばサプライズ。印象としてはバランスを崩して勝負に出たなという感じがしました。(高さは捨てて、ポゼッションとカウンターで行くよ)
テストマッチや調子の上がり具合なんでしょうけども、なんとくジョーカー役は大久保というよりは柿谷+青山が担いそうな感じがしています。齋藤もいいんですけど、ギリシャ戦単発かもしれない。
あとは恒例ってわけでもないのですが背番号予想。
1.KAWASHIMA
2.UCHIDA
3.SAKAI(G)
4.HONDA
5.NAGATOMO
6.MORISHIGE
7.ENDO
8.KIYOTAKE
9.OKAZAKI
10.KAGAWA
11.KAKITANI
12.NISHIKAWA
13.OKUBO
14.AOYAMA
15.KONNO
16.YAMAGUCHI
17.HASEBE
18.OSAKO
19.INOHA
20.SAITO
21.SAKAI(H)
22.YOSHIDA
23.GONDA

今年のJリーグは面白かった

まだ天皇杯がありますが一区切りついか感じがしたので。
といっても全試合観たわけでもないし、ましてや観戦したわけでもないのですが、贔屓にしていたチームや選手が活躍したということで、最後は残念でしたけども満足度は高かったかなと思います。
お気に入りのチームは次の3つ
1.横浜Fマリノス
2.セレッソ大阪
3.松本山雅
マリノスはJリーグ発足当初からのファンで、単純にトリコロールカラーが好きだったという理由なだけなのですが、好きなタイプの選手がいるというのも大きい要因かと思います。関西の方だとセレッソ大阪で、若手が次々と輩出している点がポイントで、近年は好みのタイプの選手が多いのもあります。松本山雅は縁故といいますが、一応、地元(本当のことをいうと松本は若干地元感は薄れますが)、同級生も選手として在籍していることもあり動向をチェックしていました。松田選手も在籍していましたし。
マリノスは優勝を逃してしまいましたけど、中村俊輔選手がMVPをとれた事で少しほっとしています。Jリーグに復帰した時はなんとなく都落ちというか、ネガティブな印象がありましたし、続けて南アフリカW杯のこともありましたし、なんとももどかしい思いがありました。最後の一花というわけではありませんが、海外に飛び立つ前と同じくらい(それ以上か)華々しい活躍をされた事で、個人的には一つの区切りがついたような感じがします。ここ数年は選手層が薄さが懸念点だったため、このチャンスを逃すとおそらく来年は優勝は難しいのではないかという感がどうしてもありました。来年はいい補強と若手の台頭を期待するばかりです。
セレッソは若手が充実していましたが大事なところで取りこぼしがあり、ACLまでもう一歩というところでした。柿谷はW杯以後は海外へ行ってしまうかも知れませんが、南野もいるし(といっているうちに海外いってしまうかも)、個人的注目選手は扇原なので、彼の成長を見守りたいと思います。
山雅はJ1昇格プレーオフまでもう一歩のところでした。正直、ここまで上位に来るとは思っておらず驚いております。J2の試合のレビューを見るたびに、例の同級生がときどき取り上げられていたりすると、自分ももう少し頑張っペという気持ちになりました。三十路超えて来年はどうなるか分かりませんが、引き続き応援していきたいなと思います。
もう少し息子が大きくなったらスタジアムへ行こうかと思うのですが、いかんせん横浜が遠いため、第4のチームとしてFC東京をお気に入りに追加しようか検討中です。近い方がいいし、もしサッカースクール通いたいってなったらFC東京傘下のチームが家からも近いし。
さて、今回の終盤の盛り上がり方をみると1ステージ制の方が良いのかなぁという感じはします。